
暦の上では秋とはいえ、まだ夏の匂いが色濃く残るこの季節。山の渓流ではひと足早く季節が訪れて、しつこく続く残暑を避けるにはもってこいである。日中でも涼しい風が吹き、水は透き通るように冷たく美しく、サカナが虫を追って水面を割る。
遠くの山の景色に思いを馳せながら、次第に長くなる夜の手持ち無沙汰に毛鉤を巻く。
この季節、メイフライ(カゲロウ)やセッジ(トビケラ)は未明と日没後のほんの一時しか出てこない上に、
それらを模したパターンは春からのフィッシング・プレッシャーでサカナの反応も渋くなっている。
ゆえに、アリとクモ。いわゆる「テレストリアル」とボクらが呼ぶ、陸生昆虫を模したパターンである。大きくはビートル(甲虫類)やホッパー(バッタ類)もこれに含まれるのだが、夏でも秋でもないこの時季の渓流の水辺、必殺のパターンがこのアント(アリ)とスパイダー(クモ)である。
昨日、北陸の山の友人からの便りが届き、気持ちのいい釣りができたとのこと。
そう聞いてはいてもたってもいられない。久しぶりに山に行こう。先日あたりから、山と渓流と、そこに棲む渓魚がボクを呼んでいるような気がしていたのだ。
さて。
毛鉤も巻いたし、準備は万端。
出かけてこようか。