さて昨日のプロボクシングWBA世界ライトフライ級王座決定戦12回戦、ファン・ランダエタ(ベネズエラ)VS 亀田興毅(日本)。ご覧になった方のほとんどが感じたことだろうし、昨日の今日で、今おそらく一番の話題となってすでにあちこちのブログでもたくさんのことが書かれているだろうから、いかに亀田のボクシングが未熟で亀田自身の人間性も未熟であるかは、あえて書かない。でも、どうしても昨日の王座決定戦について書きたいことがあったから、それを書く。それは、開始ゴング前の、両国国歌斉唱についてである。
先に、ランキングが上のファン・ランダエタ側から、ベネズエラ国歌。歌うのは、
コロンえりかさんというベネズエラ生まれの日系女性ヴォーカリスト。このリンクを参照していただければ経歴などお分かりいただけると思うが、その素晴らしいソプラノの歌声は、高音が転がるように伸びつつヴィブラートしてとても美しく、ベネズエラ国歌という耳慣れない歌を聴くボクの耳に、心に、真っ直ぐに届いて、感動的だった。
対して亀田の方は、Tボランとかいうグループのヴォーカリストを名乗る若いおニイちゃん。70年代グラムロックのカリスマ、TーREXのマーク・ボランをもじってつけたような名前のことはともかく、その歌がなんとも貧弱で情けなく、失笑を禁じえないものだったのだ。腹から声を出す本格和声の発声法のコロンさんに対して、こやつは咽喉からだけのド素人な発声で、貧弱な声量を誤魔化すためにマイクを手に持って口にぴったりつけている。それでも歌が上手ければまだマシなのだが、これがクネクネした幼稚なデフォルメによる、原曲の破壊といっても差し支えないヘタクソな歌唱でとても聴いていられない。本人は個性を強調したアレンジでロックシンガーたる自分が歌うことの意義を表現したつもりなのだろう。あるいはアメリカ国歌をギターで無茶苦茶に表現したジミ・ヘンドリクスを意識したつもりででもあるだろうか。
しかし残念ながら、オリジナルを超えるオリジナリティをアレンジで表現できるのは、超絶的な歌唱力あるいは演奏力を持つ、ごく一握りの、真の意味でのアーティストに限られるものだ。亀田のたっての希望、ということでこのおニイちゃんの登場となったらしいのだけど、少しでも客観的に自分を評価できるシンガーであったなら、こんな場違いな場所にノコノコと出てきて貧弱でヘタクソな歌を歌うことの恥ずかしさを考え、丁重にお断りするのが普通だろう。もっとも、勘違いなボクサーの勘違いな前座としては、彼以外のシンガーという選択肢はない、という意地悪な見方もできないことはないのだが。
試合開始前の最初のこの時点で「やっぱこいつの試合なんか見なきゃよかった」と後悔したが、毒喰らわば皿まで、とばかりに最後まで見てしまった。が、イヤな予感は的中して、判定の結果がコールされた瞬間、テレビを消すことに。結局、つまらない茶番に1時間も費やしてしまっただけ。
しかし、おかげで素敵な女性ヴォーカリストを発見することができたのは収穫でもあった。
亀田クン、ありがとう(笑
あ、そうそう、お礼に、と言っちゃなんだけど、キミにひとつ言葉を贈ろう。
「弱い犬ほど、よく吠える」
後学のために、憶えておきたまえ。